血栓(けっせん)とは何か?
血栓とは、「血管の中で血液が固まってできた塊(血の塊)」のことを指します。これは本来、ケガをして出血した際に、血を止めるための体の自然な防御反応(止血作用)として働きますが、血管の中で不必要に形成されると、深刻な病気を引き起こす原因となります。
1. 血栓ができるメカニズム
血栓は、主に以下の3つの要因が重なり合って形成されます。
1. 血管の壁の損傷(動脈硬化):
血管の内側の壁が、高血圧や高脂血症などによって傷ついたり、動脈硬化(プラーク)でデコボコになったりすると、その場所に血小板が集まり、血栓の形成が始まります。
2. 血液の流れが滞る(うっ滞):
心臓の病気(心房細動など)や、長時間同じ姿勢でいること(エコノミークラス症候群)などで血液の流れが極端に遅くなると、血液が凝固しやすくなります。
3. 血液が固まりやすい状態(凝固能亢進):
脱水状態や特定の病気により、血液中の凝固に関わる成分が増え、血液全体が固まりやすい状態になります。
2. なぜ血栓が問題なのか
血栓が厄介なのは、血管を物理的に塞いでしまうことです。血栓が形成された場所や、それが流れていって詰まった場所によって、以下のような重篤な病気を引き起こします。

特に、心臓の中にできた血栓が血流に乗って脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせるタイプの脳梗塞を心原性脳塞栓症と呼び、重症化しやすいことが知られています。
3. 血栓の予防
血栓ができる主な原因は動脈硬化や高血圧です。血栓の形成を防ぐためには、血栓ができにくい体質と血管環境を整えることが大切です。
• 生活習慣の改善:
• 高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病をしっかり管理する。
• 適度な運動を行い、血流を良くする。
• 水分補給を心がけ、血液の粘度が高くなるのを防ぐ。
• 薬物療法:
• 医師の指示に基づき、血栓の形成を抑える薬(抗凝固薬、抗血小板薬など)を服用する。
